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スケルトン描法
ぼくの友人がスケルトンの時計を見せてくれた。この種はぼくの好みではないが。機械式駆動の高級時計で、その裏蓋がガラスになって、中のメカ(ムーブメント)が素通しで見える構造のものだ。おそらく、この時計の愛好家は精巧極める機械の構造や鼓動のような振り子の景観に魅せられたのだ。 我々には常に見れない物や見れない所を見たい欲望があるから、このスケルトンの景観はその楽しみ事の一つであろう。 スケルトンはもともと、骸骨のことで、いろいろな骨組みや駆体や素材を意味するが、物体を透過して、その中身や素地を見せる表現に使われることが多い。 ドールハウスのように外壁を取り払い、部屋の様子を3Dで楽しませてくれるのはまさしくスケルトンがつくる景観だ。 建築パースでもスケルトンの手法が活かされる。自分が描く対象の前に障害物があれば、取り除きたいと思う。しかし、その障害物が駆体の一部だったり、主要なオブジェであれば、その存在を無にするわけにいかないから、その存在をぼやかして隠れてた対象を明確にする時だ。具体的には障害物を半透明にしたり、一部分を残しながら消去して、その奥にあるものをしっかり見せる方法である。 スケルトンは定まった技法でないから、どの部分を、どの角度で、どのくらいの透明度で描くのかはケースバイケースである。だから、下手をすると、スケルトンの部分がゴーストぽく、何かと目障りで、パース全体の雰囲気を壊すこともある。 部屋の中央に大きな柱がある場合の内観パースでは、スケルトン処置はことの外難しい。画角の中央に柱を収めるアングルでは、スケルトンすると、柱はゴーストになり、全く除去するとリアリティを損なう。このような状況では柱のスケルトン効果はマイナスだ。結論を言えば、柱を左右のどちらかに寄せてのアングルでそのまま描くしかないのだ。 先日、「ソルト」と言うスパイ映画を見ていて、面白い発見があった。 アンジェリーナ・ジョリ扮する主人公が、彼女を追跡する捜査官をまくため、発車寸前の電車に乗り込むシーンで、そのシーンを追うカメラはフォローパン(被写体と一緒に動く)して、電車の壁を通り抜けたから!驚いた。 通常カメラは、電車の外で彼女を撮り、彼女が電車に乗り込むと同時に電車の中の別カメラにパンすると思うが、このシーンでは、電車のドアが空き、彼女が電車に乗るまで、カメラは彼女の真横の位置から離れることなく、それは電車の断面を瞬時見せてくれたような情景になったからだ。 もう既に,これらのシーンはCGを操作してで容易にできるし、電車を切断してセットにすれば、簡単に撮れることである。また、その技法は、ぼくが知らないだけでとっくの昔に完成され、たくさんの映画で経験済みのことかも知れない。 しかし、ぼくはこのスムーズなアクションシーンに違和感を覚えた。 緊迫感を欠くように、あまりにも、あまりにもスムーズなシーン移動がかえってぼくには、不自然に思えて、何となく居心地の悪い気分になったのだ。 四方壁となる室内での映画の撮影は、壁を背にするカメラワークは、被写体との距離に限界があるから、動きの大きい被写体を追うのはスムーズなことではない。一瞬視界から被写体が消えることも、極端なアップもあるだろう。しかし、それは自然なことだ。 パースを描く時に、邪魔になるオブジェでも、主要な物で、重要な位置づけであれば、その存在感を妨げてはならない。 スケルトンの処置をせず、ありのまま見せるべきである。 障害物をスケルトンして、広い視界を確保したパースは、平滑で何となく迫力に欠けることがある。それに比べ、ありのままの窮屈な視界で描く数点のショットの方が活き活きした雰囲気を伝えることもあるのだ。 関連ウエブサイト 「パースはカンで描きまする!」http://www.atelier-k-plus.com/ 「パース110番」 http://www.pers110.jp/ 「デザ引力」 http://design110.blog58.fc2.com/ 「泉デザイン研究所」 http://www.izumi.net/ #
by pers-ko
| 2011-09-08 20:21
| パースデザインについて
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