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今年は3Dの年になる気配がする。 ぼくらにはすでにおなじみのパースの3D(立体的に描く)の意味ではない。3D(仮想の3次元空間領域)映画の話である。いわゆる飛び出し映画の類いである。ただいま、「アバター」がこの手の手法で観客を集めている。スクリーンから、人、物、車らが飛び出してくるような錯覚は、エンターメントな楽しみをますます募らせるだろう。映画から3Dのアクションゲームに波及することはまちがいない。 パースには飛び出し映像はまだ期待されていないようだ。建物はアクションのない対象だから、建物を飛び出させても意味はない。しかし、飛び出さないでも、なにがしかのアクションがパースに加われば、パースも、もっと注目を浴びるのではと、3D映画を見ながら、ふと、頭をよぎったのだ。 山口晃氏の作品は新作ごとに話題を呼ぶ、当代きっての人気ある現代作家だ。 古来の大和絵や武者絵風なスタイルに現代の風俗が盛られる絵は観客を決して、飽きさせないサービス精神にあふれている。アーティストにサービスとは語弊があるが、おそらく、作品の中で、企んだり、いたずらしたりして、作者自身が楽しんでいることが、われわれにも共感するのだろう。諧謔性に富む内容や、シニカルな社会評がテーマにあっても、ぼくらを普段着で抵抗なく、作品に誘うのはやはり、高度な絵画技術によるものだろう。 展覧会場で、中年のご夫人が、虫眼鏡を片手に作品に見入ってたのには驚いた。いや、虫眼鏡を準備してた彼女は相当なファンと言うべきだろう。山口氏の作品は、画面の隅々まで、豆粒ほどに繊細に描かれるからね。 パースもこんなアート魂がアクションとして加われば、パース自体が見直されるかも知れない。 「戦場でワルツを」は2008年のアカデミー賞を受賞した、イスラエルの映画だ。戦場における兵士の苦悩や哀しみのドラマであるが、その映画の中でのシーンにアニメーションが使われている。 アニメーションは、リアルな映像とコントラストを強調するように、かなり荒っぽいが、その効果で印象はなお鮮明で強烈になっている。いままでにも、リアルな映画とアニメやCGを合体した映画があったが、ほとんどが、映画(リアル)に同調させていた。今回はそれぞれの根っこを強調して、融合している。 このスタイルはこれからのパースに学ぶところが多い。 前置きが長くなったが、「建築パースにおける人物添景の難しさ」に山口氏の絵や映画の中のアニメの使い方に、その解決の緒のヒントはないものだろうかと考えたからだ。しかし、このヒントはパースがアートになっての理解で、建築パースが、従来のように、施主好みの建築になってるかの確認画であれば、このような手の込んだアートの手法や、違和感のある描き込みに理解どころか、拒否されることが落ちだ。 しかし、いつの日か、建築パースとして理解できるような新しいアクションのパースを描いてみたいと思う。 誰しも考えることだが、CGでの建築パースでの人物添景はいつも苦労するところである。 現代のレンダリングソフトは建物の内外の景観(完成予想図)に実写と紛うまでのリアルな描写力をもってきた。しかし、人物のそれにはまだ至らない。柔らかい、微妙な肌合いの質感を3Dで表現することは所詮無理ではないかとも思う。 先日、マダムタッソー(ロンドンの有名なロウ人形館)のミシェル・アメリカ大統領夫人の作品を見たが、世界最高の技術で人間のレプリカを造っても、なお、違和感がある。その点、写真の人物の方が、被写体が本物であるゆえ、違和感がない。しかし、写真の人物をパース画面に添景として貼付けると、建物内外の採光の当たり方と人物のそれは一緒でないから、やはりおかしく見える。同調させることは、レタッチの技術で可能であるが、高い感性と経験が要ることでその労力は並みでない。 最近、見た建築パースでその意を強くしたので、紹介したい。 それは海外に建設予定の大きなミュージックホールのパースであった。 内観の雰囲気を臨場感あふれる景観にしたいと、たくさんの人物像が描かれていた。ステージ上のミュージッシャンやスタンディングの観客が大勢、写真の貼付けで構成されていた。相当な労力と経費がかかった作品だ。 しかし、最高のレンダリングで建築がリアルに描かれた中のリアルな人物はやはりおかしかった。足が地に着いていない感じで、貼付けてあることがすぐに解って、滑稽だった。 こんなとき、いっそのこと、リアルな建物とコントラストをつけて、人物を静止画のアニメにしたり、手描きの人物でアート風に処理すると、印象はまた別のものになったのではないだろうか。 建築パースの中で、音楽が流れ、人物は動画アニメになれば、最高! まあ、これは紙面のパースではできないことだけどね。 建物の内容を考えると、リアルな画像構成に苦労するより、ハチャメチャな楽しさを印象づける工夫をした方が正解では、と思ったんだけど…。 2010/1/23 #
by pers-ko
| 2010-01-22 20:00
| 日記
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